観たもの日記

見たものの感想などを徒然に書き留めてみようと思います。減る一方の語彙力の維持になるなら、、

DUNE砂の惑星2

ハルコンネン家に抹殺されたアトレイデス家の息子ポールが、唯一無二の香料を産出する惑星アラキスの原住民である砂漠の民フレメンのリーダーとなって、宿敵ハルコンネン男爵とその息子達を倒し、男爵の後ろにいた皇帝を屈服させて皇帝の地位を奪うまでを描く。

前半はポールがフレメンのリーダーになるまで。
男爵家の香料採取船襲撃で力を認められて戦士としての名前とフレメンとしての名前を与えられ、フレメンの少女チャニとも恋仲になる。
砂虫を乗りこなす試練も見事にクリアして、リーダーとして認められ、伝説の預言者ではないかと崇められるようになる。
砂虫に乗りこなすシーンが秀逸。周りの見えない砂嵐の中、やがて立ち上がって砂漠を疾走する姿は、ジブリだったらあの音楽が付くこと間違いなし。固唾を飲んで見守っていたフレメンたちの様子は、おはば様のように、おおお伝説はまことであった、と言わんばかり。

ハルコンネン家の暴虐さや全体主義的な描き方はちょっと型通りで鼻白らむ。
魔女集団のベネゲセリットたちの方がはるかに狡猾でおどろおどろしい。誰が皇帝になろうが自分たちが操れる者かを見極めようとする。

後半は本格的にフレメン討伐に乗り出したハルコンネンとポールたちの戦い。
ハルコンネン家のサイコな次男が次期男爵として暗躍する。
一方で、ポールはアトレイデス家の忠臣と再開し、南部の砂漠に秘匿した核ミサイルの存在を知り、フレメン達の教祖になった母の導きで、命の水を飲んだことで眠っていた予言の力が目覚める。
また、この体験の中で、母がハルコンネン男爵の娘であることも知る。母は妹を宿していて、その妹はまだ胎児なのに母と会話を交わして状況を逐一把握しており、とんでもない能力を持つ様子。
自分の運命に従う決意をしたポールは、伝説の預言者である救世主だと名乗ることを躊躇しなくなり、フレメンを率いて皇帝軍に戦いを挑み、ついに皇帝を追い詰める(ここが意外とあっさりだったのが残念。強大なはずの男爵や皇帝が全然弱かった。ここを丁寧に描いて、映画を2回に分けても良かったかも)。
捕虜にした皇帝に剣を手に直接対決を挑み、代理として立った次期男爵と死闘を繰り広げ、勝利。
皇帝を退位させて自ら皇帝となり、皇帝の娘を妻に迎える。
しかし諸侯連合はそれを認めず、ポールと諸侯との新たな戦いが始まる。
チャニは妾になることを拒んで砂漠に戻る。

前作ほど血生臭い戦いのシーンが続くわけではなく、砂虫サーフィンのシーンは迫力があって楽しかったけれど、見終わった後の感想は「欧米の本音って力が全てなんだな」に尽きた。
力のあるものが弱者を支配するのは当然、とでもいうような論理が絶対に根底にはある。そこに鼻白んだ。なんだかんだ綺麗事を言っていても、血みどろで戦ったギリシャローマからの民族間のガチな争いの記憶が体の奥底に沈殿していて、ちょっとかき混ぜるとその澱が上がってきて全体を濁らせる。